長野と越後川口を結ぶローカル線、飯山線を越後田中駅で下車すると、辺りは信越国境の山々に囲まれた閑静な山里である。
田んぼの中に点在する家々の間の道を歩いていくと、信濃川の河畔に、桜の木々に囲まれた小さな宿がひっそりと佇んでいる。
玄関を入るとご主人が迎えてくれた。日本屈指の豪雪地帯で積雪は３ｍから多いときでは４ｍにもなるという。温泉はpH9.2のアルカリ性単純温泉で、少し褐色を帯び、つるつるする感じが肌に心地よい。
豊かな自然に育まれた山菜や野菜が食事に顔をそろえる。肩肘張らない土地の味が嬉しい。
館内は素足にやさしい畳敷き。「この宿に泊まってご自分の田舎に居るような気持ちになっていただければ」とご主人は言う。
宿の周りを囲む十数本の桜は春の開花時期に始まり、新緑、紅葉、雪景色と、この宿を彩ることだろう。