湯の澤鉱泉は、150年の湯治場の歴史を持つ名湯である。何よりも6600坪に広がるナラやクヌギの林の中の環境がすばらしい。
今の建物は平成3年に新築した平家建5室と、平成11年に裏山に増築した3室という僅か8室の宿だけにじつに閑静である。新館への渡り廊下のふぜいは、都会人にはたまらない宿屋の感触だ。
野菜を主にした料理は、若主人が調理をし、奥さんが案内、配膳。親父夫婦が下の畑で野莱を作って運んでくるといった家族で営むこぢんまりした宿である。
浴室も従来の開放感のある岩風呂に加え、木の香り漂う念願の檜風呂が完成した。四季折々の自然に囲まれての湯あみは心をなごませてくれる。
山方宿は有名な和紙の産地。袋田の滝へも一時間たらずである。上野を12時の特急ひたちで発っても水戸で乗り換え、14時30分には宿につく。運賃も往復で約1万円、宿泊料を加えても2万円そこそこで、湯あがりの浴衣姿になって緑の木立の散歩が楽しめる温泉である。